ビタミンA
ビタミンAの主な効果は、皮膚の健康維持と視覚を正常に保つことです。一般的に「目や粘膜を正常に保つ」、「夜盲症を防ぐ」、「がんのリスクを軽減する」などと言われています。
しかし、がん患者の2次がんの再発リスクの減少に対しては、恐らく効果がないとされています。ビタミンAが欠乏することによる眼球乾燥症や夜盲症などの予防や治療に対して、人での有効性が示されています。
ビタミンAが不足すると皮膚や粘膜が乾燥したり、夜盲症や成長障害、胎児の奇形などを引き起こす恐れがあります。
ビタミンAが不足した場合の最も深刻な問題が、視覚障害です。ビタミンAの不足は目の角膜や粘膜がダメージを受ける原因となり、ビタミンA不足の症状が悪化した場合には視力の低下や失明を招く場合もあります。
よって、ビタミンAは目の健康に欠かせないビタミンと言えます。
また、ビタミンAは脂溶性のビタミンであるため、動物性食品からのビタミンAの多量摂取(またはサプリメントからのビタミンAの多量摂取)は過剰症を引き起こす可能性があることに注意が必要です。
植物性食品を由来としたビタミンAであるβ-カロテンは、過剰症の心配がないとされています。なぜなら、β-カロテンを過剰に摂取しても、体内のビタミンAが十分であれば体内におけるβ-カロテンからビタミンAへの変換が起きないからです。
そのため、ビタミンAを安全に補うには緑黄色野菜が最適ですが、脂溶性のビタミンであるビタミンAの吸収率を上げるためには油を使って調理するとよいでしょう。
ビタミンAのがんに対する効果については、現時点ではあるともないとも言えないようです。なぜなら、がんの発生率や死亡率の抑制効果が示唆されたという報告と、がんの発生率や死亡率の抑制効果がみられなかったという報告が両方あるからです。
例えば、「食事からのビタミンAの十分な摂取は、乳がんの家族歴のある更年期前の女性の乳がん発生リスクを下げることが示されている(ただしビタミンAのサプリメントで同じ効果があるかどうかは不明)」との報告がある一方、「頭部や頸部や肺がんの患者において2次がんや腫瘍の再発リスクを減少させるのに、おそらく効果がないと思われる」といった報告もあるからです。
また、「抗酸化サプリメント (β-カロテン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、セレン) の摂取はがんの発症もしくは再発率に影響を与えず、サブグループの分析においては膀胱がんのリスク増加を示した」との報告もあります。
現時点では、ビタミンAのがんの抑制効果は期待しない方がよいでしょう。ビタミンAに関しては、植物性食品由来のβ-カロテンを適切に摂取することがよいと思われます。
(栄養機能食品の機能表示)ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素です。ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。
(注意事項)本品は、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進するものではありません。一日の摂取目安量を守ってください。妊娠三か月以内又は妊娠を希望する女性は過剰摂取にならないよう注意してください。
ビタミンA(レチノール当量)の1日当たりの所要量(18~69歳の所要量の平均値)。
・男性…850μg
・女性…688μg
・男女平均…769μg
(年齢…男性の所要量/女性の所要量)
・0~5か月…-μg/-μg
・6~11か月…-μg/-μg
・1~2歳…400μg/350μg
・3~5歳…450μg/450μg
・6~7歳…450μg/400μg
・8~9歳…500μg/500μg
・10~11歳…600μg/550μg
・12~14歳…750μg/700μg
・15~17歳…900μg/650μg
・18~29歳…850μg/650μg
・30~49歳…850μg/700μg
・50~69歳…850μg/700μg
・70歳以上…800μg/650μg
(妊娠中、授乳中は上記の所要量に下の数値を加える)
・妊娠初期…+0μg
・妊娠中期…+0μg
・妊娠末期…+80μg
・授乳中…+450μg
(年齢…男性の耐容上限量/女性の耐容上限量)
・0~5か月…600μg/600μg
・6~11か月…600μg/600μg
・1~2歳…600μg/600μg
・3~5歳…700μg/700μg
・6~7歳…900μg/900μg
・8~9歳…1200μg/1200μg
・10~11歳…1500μg/1500μg
・12~14歳…2000μg/2000μg
・15~17歳…2500μg/2500μg
・18~29歳…2700μg/2700μg
・30~49歳…2700μg/2700μg
・50~69歳…2700μg/2700μg
・70歳以上…2700μg/2700μg
ビタミンAの欠乏症は次の通りです。
・夜盲症
・乾燥眼炎
・感染に対する抵抗力の低下
・成長不良
・骨・歯の発育不良と変形
・皮膚や粘膜の角質化
・皮膚の異常乾燥、色素沈着
・性腺の変性退行
ビタミンAの過剰症は次の通りです。
・脳圧亢進
・激しい頭痛(おもに後頭部)
・脱毛
・骨・四肢の痛み
・不安、易刺激性(不機嫌)
・吐き気や嘔吐
・肝機能障害
・疲労感
・奇形の発生
・食欲不振
・発疹
・下痢
・睡眠障害
・皮膚の荒れ、かゆみ、色素沈着
・めまい
・鼻血
妊娠中にビタミンAを過剰摂取した場合、水頭症や口蓋裂などの胎児の奇形が発生する危険性が増す可能性を指摘する報告があります。ビタミンAを毎日3000μg以上摂取した場合に胎児の奇形のリスクが増すようです。
また、妊娠12週までに1日に4500μg以上のビタミンAを毎日摂取した場合、ビタミンAの摂取量が1日に1500μg未満の妊婦と比較して胎児の奇形が発生する確率が3.5倍に上昇すると報告されています。
ビタミンAの過剰摂取の危険性があるのは動物性食品を由来としたビタミンAと、ビタミンAのサプリメントです。
植物性食品由来のビタミンAであるβ-カロテンは、過剰に摂取しても体内のビタミンAが十分であればβ-カロテンからビタミンAへの変換が行われないため安心だとされています。
ビタミンAの所要量はレチノール当量として計算されます。ビタミンAは脂溶性のビタミンであり、油脂に溶ける性質を持っています。
動物性食品に含まれるビタミンA(レチノール)の量と、植物性食品に含まれるカロテノイド(摂取後に体内でビタミンA(レチノール)に変換されるβ-カロテンなど)を合計したものをレチノール当量と言います。
ビタミンA(レチノール当量)が多い食品の1~100位を掲載。(含有量は100g当たり)
・豚のスモークレバー…17000μg
・鶏の肝臓(レバー)の生…14000μg
・豚の肝臓(レバー)の生…13000μg
・あんこうのきもの生…8300μg
・ヤツメウナギの生…8200μg
・鮎の養殖の内臓の焼き…6000μg
・鮎の養殖の内臓の生…4400μg
・うなぎのきもの生…4400μg
・豚のレバーペースト…4300μg
・アマノリのほしのり…3600μg
・豚肉のソーセージのレバー…2800μg
・アマノリの味付けのり…2700μg
・マツモの素干し…2500μg
・うなぎの養殖の生…2400μg
・緑茶の抹茶…2400μg
・アマノリの焼きのり…2300μg
・岩のりの素干し…2300μg
・パセリの乾…2300μg
・鮎の天然の内臓の焼き…2000μg
・鮎のうるか…2000μg
・ヤツメウナギの干しやつめ…1900μg
・ホタルイカのゆで…1900μg
・マジェランアイナメの生…1800μg
・緑茶の玉露の茶…1800μg
・鮎の天然の内臓の生…1700μg
・唐辛子の果実の乾…1500μg
・うなぎの白焼…1500μg
・うなぎの蒲焼…1500μg
・ホタルイカの生…1500μg
・青のりの素干し…1400μg
・ギンダラの生…1100μg
・牛の肝臓(レバー)の生…1100μg
・緑茶のせん茶の茶…1100μg
・フォアグラのゆで…1000μg
・アナゴの蒸し…890μg
・しその葉の生…880μg
・モロヘイヤの茎葉の生…840μg
・人参の根の冷凍…810μg
・無塩バター…790μg
・発酵バター…780μg
・チリパウダー…770μg
・人参の根の皮つきの生…760μg
・人参の根の皮つきのゆで…740μg
・人参の根の皮むきのゆで…720μg
・唐辛子(とうがらし)の粉…720μg
・ヒトエグサの素干し…710μg
・乾燥わかめの板わかめ…710μg
・鶏の心臓(ハツ)の生…700μg
・ホタルイカの佃煮…690μg
・人参の根の皮むきの生…680μg
・白鮭の筋子…670μg
・乾燥わかめの素干し…650μg
・唐辛子の果実の生…640μg
・鶏卵の乾燥卵黄…630μg
・パセリの葉の生…620μg
・川海苔(カワノリ)の素干し…580μg
・ヨメナの葉の生…560μg
・調製粉乳…560μg
・モロヘイヤの茎葉のゆで…550μg
・バジルの葉の生…520μg
・有塩バター…510μg
・ミニキャロットの根の生…500μg
・ほうれん草の葉の冷凍…500μg
・よもぎの葉のゆで…500μg
・アナゴの生…500μg
・鯉の養殖の内臓の生…500μg
・パプリカの粉…500μg
・唐辛子の葉・果実の油いため…480μg
・鮎の養殖の焼き…480μg
・うずら卵の水煮缶詰…480μg
・鶏卵の卵黄の生…480μg
・ワカサギの佃煮…460μg
・ほうれん草の葉のゆで…450μg
・鶏卵の卵黄のゆで…450μg
・あしたばの茎葉の生…440μg
・あしたばの茎葉のゆで…440μg
・春菊の葉のゆで…440μg
・よもぎの葉の生…440μg
・デニッシュペストリー…440μg
・唐辛子(とうがらし)の葉・果実の生…430μg
・ナズナの葉の生…430μg
・ワカサギの飴煮…420μg
・鶏卵の乾燥全卵…420μg
・金時人参の根の皮つきの生…410μg
・金時人参の根の皮つきのゆで…410μg
・めたでの芽ばえの生…410μg
・あんずの乾…410μg
・たたみいわし…410μg
・金時人参の根の皮むきのゆで…400μg
・鶏卵の加糖卵黄…400μg
・豆苗(とうみょう)の茎葉の生…390μg
・クリームの乳脂肪…390μg
・春菊の葉の生…380μg
・金時人参の根の皮むきの生…380μg
・大根の葉のゆで…370μg
・ニラの葉のゆで…370μg
・人参のジュースの缶詰…370μg
・かじかの佃煮…370μg
・ようさいの茎葉の生…360μg
・ほうれん草の葉の生…350μg