L-カルニチンにダイエット効果はなく、動脈硬化の原因にも?
もしL-カルニチンにダイエット効果がなく、動脈硬化の原因にさえなるとすれば…、L-カルニチンをサプリで摂取するのは考え直した方がよいのかもしれません。
L-カルニチンには本当にダイエット効果がある?
L-カルニチンのダイエット効果については、体内におけるL-カルニチンの役割によって解説されることが一般的です。L-カルニチンの体内における役割を簡単に解説します。
L-カルニチンは体内で脂質代謝に関与するビタミン様物質です。脂肪を燃焼してエネルギーを産生する過程で、体内のエネルギー生産工場であるミトコンドリアの内部に脂肪酸(体脂肪から分解されたエネルギー源)を運ぶ役割を持っています。
体内で合成されないため摂取が不可欠なビタミンとは異なり、L-カルニチンは体内で合成される成分です。
L-カルニチンのこのような脂質代謝に関係する役割を考えれば、L-カルニチンを補うことで脂肪の燃焼が促進されてダイエット効果を生み出すことも期待されます。
しかし、L-カルニチンのダイエット効果に関して、人における試験では、L-カルニチンの摂取で脂肪が燃焼したという報告がこれまでに認められていないようです。さらに動物実験においても体重や体脂肪の減少効果に否定的な報告があるようです。
L-カルニチンの人における試験としては、「肥満の成人35名にL-カルニチン200㎎/日と共役リノール酸700㎎/日を8週間摂取させたところ、体重と体脂肪率とBMIに影響が認められなかった」という報告があります。
よって、現状ではL-カルニチンにダイエット効果があるとはっきり言い切ることはできません。
L-カルニチンで動脈硬化が促進?
L-カルニチンの摂取で動脈硬化が促進するという内容が、2013年4月に「ネイチャー医学」誌に掲載されました。
これによると、L-カルニチンを摂取すると腸内細菌によって動脈硬化を促進する「TMAO(トリメチルNアミンオキシド)」という成分が産生され、この成分がアテローム性動脈硬化(動脈の内側に粥状の隆起が発生する状態)を促進させるとのことです。
また、L-カルニチンを継続して摂取することでTMAO(動脈硬化を促進する成分)を生産しやすい腸内細菌の状態へと変化し、ますます動脈硬化になりやすい体質に変化していくとのことです。
TMAO(動脈硬化を促進する成分)が腸内細菌によって生産されることを考えると、食物繊維やオリゴ糖などを積極的に摂取して善玉の腸内細菌を増やすことで、TMAO(動脈硬化を促進する成分)の生産量を減らせそうな気もします。
L-カルニチンが心臓発作後の健康状態を改善する?
その一方で、「L-カルニチンが心臓発作後の健康状態を改善する」という上記とは正反対の報告が、アメリカのメイヨー・クリニックによってなされました。
この報告によると、「L-カルニチンの摂取により心筋梗塞発作後の死亡率が27%減少したほか、発作後に生じる不整脈の発症は65%、狭心症の発症が40%低下した」とのことです。
L-カルニチンの評価はこのようにまだ完全には定まっていないようなので、少なくともダイエットのためだけに摂取するのは避けた方がよいのかもしれません。