酵素にダイエット効果がない5つの理由

酵素にはダイエット効果がありませんが、酵素にダイエット効果がない理由を5つに分けて詳しく解説します。また、酵素ドリンクを飲んで痩せたという口コミがあるのはなぜでしょうか。酵素ドリンクでなぜ痩せたのかという理由についても解説します。

酵素を摂取すると痩せる理由として解説される内容は一般的に次の通りです。

酵素ドリンクで痩せると言われる理由

酵素ドリンクを飲むと痩せる理由として解説される内容は一般的に次の通りです。

1.人間の体内には酵素が存在し、酵素が人間の生命活動に重要な役割を果たしている。

2.体内の酵素は大きく分けて「消化酵素(食べ物を消化する時に必要な酵素)」と「代謝酵素(新陳代謝の促進など生命維持に欠かせない酵素)」の2種類である。

3.体内の酵素には限りがあり、加齢や食べ過ぎなどで「消化酵素」を使いすぎると相対的に「代謝酵素」が不足するため、体の基礎代謝が低下する。

4.酵素を摂取することで補えば、不足していた「代謝酵素」が補われるので基礎代謝がアップする。基礎代謝がアップすると痩せる。

酵素という栄養素は存在しない

実は酵素という栄養素の概念は、医学・生命科学の分野では存在していません。世界最大の医学・生命科学の研究論文データベースであるPubmedでは、「Enzyme Nutrition(栄養素としての酵素)」というキーワードが含まれた論文は1つも存在しないようです。

酵素がダイエットや健康維持に役立つ栄養素だという考えは、日本のテレビやインターネット上に存在するだけで、世界の医学や生命科学の分野ではこのような事実はないようです。

胃の消化液で酵素の効果が失われる

酵素を摂取したとしても、酵素の効果は胃の消化液と混ざった時点で失われます。

酵素というものはたんぱく質を基にして作り出された成分です。たんぱく質は熱や酸に弱く、強い酸である胃酸と混ざることで変性して活性を失います。

人間の酵素と植物の酵素は異なる

植物から取り出した酵素をサプリメントで摂取したとしても、人間の体内でこの「植物酵素」が利用されることはありません。なぜなら植物の酵素の構造は人間の体内の酵素の構造とは異なるため、人間が植物の酵素を利用することもできませんし、逆に植物が人間の酵素を利用することもできません。

もちろん植物どうしでも種類が異なれば酵素の構造も違ってきますし、動物でも人間とサル、あるいは他の動物など、それぞれ構造が違ってきます。

体内の酵素は不足しない

そもそも酵素は不足しません。人間の体内の酵素が食べ過ぎ程度で不足してしまうようなことがあれば、それこそ大変なことになります。

体内の酵素は3000種類以上存在し、全ての酵素が生命を維持するために不可欠な役割を担っています。

例えば目を使って物を見ること、耳を使って音を聞くこと、頭を使って何かを考えること、何かが皮膚に触れた時に感じること。これら全てに酵素は必要です。もちろん、心臓を動かすためにも酵素は必要です。

もしひと時でも酵素が体内で不足することがあれば、心臓が止まったり目が見えなくなったり、何も聞こえなくなったりするはずです。

そして、実は酵素を科学的に解説すると「触媒」という物質に分類されます。触媒とは特定の物質に働きかけて化学反応を引き起こす物質のことであり、触媒は使われても消耗しません。

要するに体内酵素がどれだけ使われたとしても、酵素は一片も減らないということになります。これは酵素を補うことが無意味である最大の理由の1つです。

酵素の生産量に限りはない

これまでのところ、人間の体内で生産される酵素の生産量に限りがあるという事実は発見されていません。これをわかりやすく言い換えると、「酵素が不足する」という主張がそもそも科学的事実に基づかないということです。

酵素ドリンクでなぜ痩せたのかという理由

今までの話と矛盾するようですが、酵素ドリンクにはダイエット効果があります。

酵素のサプリメントには効果がありませんが、酵素ドリンクにはダイエット効果があるということです。

酵素ドリンクで痩せる1つ目の理由

一般的に酵素ドリンクを使ってダイエットをする場合、置き換えダイエットやプチ断食をします。

置き換えダイエットとは、食事を酵素ドリンクと置き換えることで摂取カロリーを制限するダイエット方法です。また、プチ断食は2日か3日程度の短期間、3食全てを酵素ドリンクに置き換えるダイエット方法です。

例えば普段の朝食で500kcal摂取していた場合。朝食を酵素ドリンク(100kcal)に置き換えれば1日当たり400kcalを制限できます。

これを体脂肪に換算すると55.5gに相当するので、毎日体重計に乗ると約55gずつ体重のメモリが軽くなっていくということです。

これは18日で1キロの体脂肪が減り、半年間(180日間)で10キロの体脂肪が減る計算になります。

ほんの2、3日の短期間で体重を一気に2キロくらい落としたい場合、酵素ドリンクを使ったプチ断食をすれば意外に簡単に達成できることに気が付きます。

実は、酵素ドリンクの成分にもダイエット効果がある

酵素ドリンクの「酵素」の部分ばかりが強調されていますが、実は酵素ドリンクは「発酵食品」の一種です。酵素ドリンクは原材料の野菜や海藻、穀物などを発酵させて製造するからです。

ヨーグルトに腸内環境を整える効果があることはすでに常識ですが、ヨーグルトは牛乳を発酵させた発酵食品です。発酵させる元となる食品が異なるだけで、ヨーグルトも酵素ドリンクも発酵食品と言う点では同じなのです。

酵素ドリンクには「短鎖脂肪酸」という成分が含まれています。乳酸菌が原材料の野菜や海藻、穀物などを発酵する時に短鎖脂肪酸を生み出して酵素ドリンクに溶け込むからです。

この短鎖脂肪酸にダイエット効果があります。

短鎖脂肪酸のダイエット効果

京都大学大学院薬学研究科の辻本豪三教授らの研究グループは、

「「短鎖脂肪酸」が、体内でのエネルギーのバランスを調節する役割をはたしている」

という研究内容を発表しました。

これは、短鎖脂肪酸を摂取すれば一時的に代謝が増えて、エネルギーの消費量が増えるという内容です。

よって、酵素ドリンクには置き換えダイエットによるカロリー制限の効果と、酵素ドリンクを飲むことで補う短鎖脂肪酸がエネルギー消費量を増やす、という2つのダイエット効果を期待できるわけです。