ヨーグルトダイエットは本当に痩せる?
ヨーグルトダイエットが痩せると言われることがありますが、このヨーグルトダイエットというものは「ぴーかんバディ!」という今では終了したテレビ番組で有名になったようです。ヨーグルトの本当にダイエット効果がある部分と、逆に太る部分について解説します。
「ぴーかんバディ!」のヨーグルトダイエットについて
「ぴーかんバディ!」で放送されたヨーグルトダイエットの内容は、食前にヨーグルトを食べることでタイトジャンクションと言う栄養を吸収する穴が閉じられ、その後の食事で摂取した栄養の吸収を阻害する効果があるということのようです。
腸には栄養吸収を調整するタイトジャンクションという穴があり、栄養はこの穴から吸収され、栄養を一定量吸収したら閉まるようなしくみになっているとのことです。
しかし太る体質の人はタイトジャンクションの穴が開きっぱなしなので栄養を吸収し続けるため、食前にヨーグルトを食べてタイトジャンクションの穴をふさげば栄養が吸収されなくなるとのことのようです。
本当にヨーグルトを食べるだけで栄養吸収が阻害され、痩せることができるのでしょうか?
タイトジャンクションとは?
タイトジャンクションとは密着結合とも言い、細胞と細胞の間を接着剤のように密着させる構造を言います。タイトジャンクションのおかげで細胞が密接につながることを可能にし、細胞と細胞の間から異物が侵入するのを防ぐ役割を持っていたりします。
例えば皮膚ではタイトジャンクションが細菌やウイルスの侵入を防ぎ、皮膚のバリア機能の一部を担っています。
タイトジャンクションによる細胞間の結合が完全なら細胞間の隙間はありませんが、完全でなければ細胞間に隙間ができます。皮膚の場合はこの隙間から細菌やウイルスが侵入することが肌のトラブルの原因の1つになっています。
小腸も当然細胞で作られているので、タイトジャンクションが存在します。小腸のタイトジャンクションにも隙間ができる場合があります。タイトジャンクションの隙間は低分子物質のみを通します。
例えば、タイトジャンクションが悪玉の腸内細菌の侵入を防ぐバリア機能を持つ一方、血圧上昇抑制性トリペプチドやカルシウムなどを隙間から通したりします。ある種のオリゴ糖はタイトジャンクションの透過性を高めてカルシウムの吸収を促進することから、トクホ(特定保健用食品)の製品も開発されています。
カロリーや栄養は主に小腸の絨毛から吸収
しかし、カロリーや栄養のほとんどは小腸の絨毛(じゅうもう)から吸収されるしくみになっています。絨毛とは小腸内壁の輪状ひだに存在する突起のことで、消化した栄養を吸収する役割を持っています。
タイトジャンクションは一部の低分子物質を通すことから栄養吸収のしくみの一部を担っていることは確かですが、カロリー吸収における主要な部分ではありません。そのため、タイトジャンクションが閉じたからといって、摂取カロリーの吸収が目に見えるほど阻害されるとは考えにくいです。
結局ヨーグルトには痩せる効果があるのか?
ヨーグルトには整腸作用があり、この観点からは痩せる効果があると言えます。乳成分にはタイトジャンクションの透過性の上昇を抑制させる効果もあるようです。
しかし上記の通りタイトジャンクションの透過性の上昇は必ずしも体にマイナスの影響のみを与えるものでもありません。タイトジャンクションの透過性の上昇がカルシウムの吸収を促進させたりするからです。
また、カロリーはタイトジャンクションの隙間よりも小腸の絨毛から吸収されるものが主です。そのため、ヨーグルトを食べたからと言ってカロリー吸収を有意なほど阻害するとは考えにくいのです。
よって、食前にヨーグルトを食べた場合、普段の食事量に加えてヨーグルトの摂取カロリーが単純にプラスされればその分だけ太ると考えられます。
ヨーグルは比較的高カロリーな食品です。ヨーグルトの整腸作用を期待するなら、ヨーグルトで摂取するカロリー分だけ食事量を減らすべきでしょう。